アルカナXV

文字 Xiron (X) -- 数字 60

テュフォン : 運命


 X−60は神界にあっては定められた運命をあらわす。知識界にあっては神秘をあらわす。物理界にあっては予測不可能性、宿命をあらわす。

 アルカナXVは破滅の霊テュフォンの姿であらわされる。かれは紅蓮の深淵より上昇し、鎖でつながれた男たちの頭上で松明をふりかざす。それは逃れ得ぬ宿命の図である。人生のなかに火山の如く噴出し、老若男女賢愚貴賎を問わず圧倒し、破滅させる。

 大地の息子よ、そなたの身分は関係がない。落雷にめげぬオークの古木を思うがよい。しかしその古木といえども一世紀以上の期間を経て、それまで避けてきた落雷に遭うのである。神のご加護があれば運命すらとりこにできる神秘の鍵を得ることができる。得ていないのであれば、自らの知恵と力を信ずるのをやめよ。

‐‐ ポール・クリスチャン 『魔術の歴史と実践』(1871)


参考


エリファス・レヴィ 「悪魔、メンデスの山羊、聖堂騎士団のバフォメットおよびその万神殿的配属物すべて。エッティラが唯一ちゃんと理解したヒエログリフである」-- 『高等魔術の教理と儀式』 (1855)


パピュス 「奇術師の札を悪魔の札の横に置けば、両者とも同じ姿勢ながら腕の向きが逆であることがわかる。奇術師は右手で世界を、左手で神を指す。一方悪魔は右手を中空にあげ、左手で大地を指す。奇術師は魔法の杖を持つが、悪魔は黒魔術と破壊の象徴である松明を持つ」 -- 『ボヘミアンのタロット』 (1889)


ウェストコット 「祭壇の上に立つ人間型の悪魔が描かれる。悪魔には角があり、長い山羊の耳と蝙蝠の翼がついている。左手に松明を持つ。男女の小悪魔が祭壇そばの地面に立つ」 -- 『サンクタム・レグナム』 (1896)


ウェイト 「メンデスの有角山羊が蝙蝠の翼に似たものをつけて祭壇の上に立つ。胃のくぼみのあたりに水星の記号がある。右手は開いて高く掲げるが、これは第五の札の教皇の祝福の逆転版である。左手には燃え盛る松明を持つ。額に逆向き五芒星。祭壇全部に輪があり、それに男女が鎖首輪でつながれている」 -- 『タロット図解』 (1911)


解説 : クリスチャンの「逃れ得ぬ運命」は他の解釈傾向とは趣を異にする。すでに「運命の輪」に「死」と二つもフェイト関連が出ているのであるから、さらに「悪魔」で駄目押しする必要があるのだろうか。他の解釈は伝統的にして大同小異といえよう。




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