アルカナXII 文字 Luzain (L) -- 数字 30 犠牲 : 暴力死 L−30は神界にあっては法の啓示をあらわす。知識界にあっては義務の教えをあらわす。物理界にあっては犠牲をあらわす。 アルカナXIIは絞首台に片足で吊るされた男の姿であらわされる。絞首台は二本の樹が支えており、樹にはそれぞれ切断された六本の枝が生えている。男の両手は背後で縛られており、曲がった腕と頭部が逆向き三角形を形成する。これは悲劇ないし犯罪の報いとしての暴力死の象徴であり、真実と正義に献身するという英雄的精神をもって迎えられる。切断された十二本の枝は生命の終焉、ホロスコープの破滅の室である十二室をあらわす。逆向き三角形は大惨事をあらわす。 大地の息子よ、心に刻むがよい。献身は神の法にして何人も逃れられぬものなり。されど人に対しては忘恩以外のなにものも望むなかれ。いついかなるときも天命に服す覚悟をせよ。そなたのホロスコープにアルカナXIIがあらわれたなら、そなたの生きる先に暴力死が待ちうけているからだ。されど世界がそなたの地上の生命を要求するにせよ、神の意志を受け入れ敵を赦免することなく死を受け入れるなかれ。この世において許しを与えぬ者は来世にあって永遠の孤独に苦しむであろう。 ‐‐ ポール・クリスチャン 『魔術の歴史と実践』(1871) |
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参考
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解説 : もっとも神秘的カードとして各方面を悩ませる一枚であろう。そのためか全員が言いたい放題といった観もある。ウェストコットは「レヴィですら真の意味を知っていたかどうか大いに疑わしい。パピュスの解釈も明らかに間違い。エッティラもジェブランも真の意味をつかんでいない」と記し、真の意味は正しいヘブル文字配属を知る人によってのみ理解されるとしている。ウェイトは「レヴィの編纂者(ウェストコット)の一人が、レヴィからして意味を知らなかったと記す。それは疑いようのない事実であるが、編纂者もまた意味を知らないのである。このカードはこれまで殉教だの深慮だの大作業だの義務だのと誤って呼称されてきた。しかし公刊された解釈などすべて洗っても見つかるものは虚栄のみであろう」とさんざんなけなしようであった。 |