アルカナI 文字 Athoim (A) -- 数字 1 術士 : 意志 A-1は神界にあっては絶対的存在を表す。この存在は万物の無限性の保持し、また流出させる。知識界にあっては統一であり、各数字の原理にして総合である。意志にして行動の原理でもある。物理界にあっては人間すなわち万物の霊長、自らの能力を不断に拡張することで絶対的同心円の中央へと上昇すべく定められた者である。 アルカナIを象徴するものは術士である。すなわち完全なる人間の典型、肉体も精神も十全に発達させた存在である。その姿はまさに意志を行動へと発動させんと直立する男性にて表される。純潔の表象たる白い衣をまとい、腰帯は尾をくわえる蛇すなわち永遠を意匠している。額には光を象徴する黄金の鉢巻が巻かれており、あらゆる被造物が循環するという連続性を表す。術士は右手に権限の象徴たる黄金のセプターを持ち、天に向けてかざしている。これは知識と叡智と力を熱望する姿勢の表れである。左手の人差し指は地面を指差す。これは完全なる人間の使命が物質世界への君臨であることを示す。これら二つの仕草の意味するもの−−人間の意志は神的意志の地上への反映とならねばならず、善を推進し、悪を阻むことを目的とするということである。 術士の前にある立方石には、杯と剣と、中央に十字を刻むシェケル金貨が置いてある。杯は幸福あるいは不幸に寄与する情熱の混合を表す。どちらを得るかはわれわれが情熱を支配するか、その奴隷となるかにかかっている。剣は障害を克服するための刻苦と闘争、それに伴う試練を象徴する。シェケル金貨は達成された熱望、努力と意思力によって得られた力の頂点の象徴である。シェケルに刻まれた十字は永遠を表す紋章であり、かくして得られた力が将来的にさらなる天球へと上昇することを明示している。 |
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参考
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解説 : クリスチャンの記述において注目すべきは、右手に棒ないしセプターを持つという一項、および尾をくわえる蛇をあしらった帯、額に鉢巻というデザインである。そもそもマルセイユにせよイタリアンにせよ、主要なタロットの魔術師はみな左手に棒あるいは杯を持っているのである。 ライダー版の魔術師が右手棒、鉢巻、蛇帯を採用することで事実上クリスチャンの魔術師を再現しているという点も興味深い。 |