Bacon, Roger
ロジャー・ベーコン
(1214-1294)


☆ 中世英国のフランシスコ会修道士。占星術、化学、数学にも造詣が深かったが、主に魔法使いとしての伝説だけが今に伝わっている。

 1214年、サマセットにて出生。幼少時より才気を示し、フランシスコ会に入った後、オクスフォードとパリで医学と数学を学ぶ。博物学的才能の持ち主であり、レンズ、プロペラ推進式船舶、馬なし車、飛行機などの構想を有し、また、火薬を発明する。
 当時の化学者として、当然ながら錬金術にも関心を示しており、その余りにも時代に先駆けた才能が周囲の疑惑を呼んで、異端の噂のためにオクスフォードを去ることになった。
 故国を追われてパリに隠遁していたが、彼の学識を聞き及んだ時の法王クレメント四世の雅量により、執筆活動は許されるようになったので、貧苦に喘ぎながらも次々に作品をものしている。
 ようやくオクスフォードに戻るが、再び著作が当局に睨まれて、今度は実に14年間ぶちこまれている。1294年前後、やっと解放されるが、すぐに死去。

 ベーコンの実像は以上のようなものであるが、彼の虚像である魔法使いとしての伝説はほぼ17世紀になって付加されたものであり、杖の一振りで霊を呼んだり、悪魔を出し抜いたり、楽しいものが多い。

主要著作 Opus Majus
Opus Minus
Opus Terilum His discovery of the Miracles of Art, Nature and Magick,
 London, 1629.
The Cure of Old Age and Preservation of Youth,
London, 1683.


参考文献 Butler, E.M.:The Myth of the Magus, Cambridge University Press, London, 1948.: p.b. 1979.
Winthrop, W.: Roger Bacon, London, no date.
Barrett, Francis: The Magus, Lackington, Allen, London, 1801.: Citadel Press, Secausus, New Jersy, 1967.
『イギリスの怪奇民話』出口保夫訳、評論社、昭和56年。


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